何年か前、渋谷の某アート系専門学校で、2クラス合同の74名を相手に「自己表現とコミュニケーション」と題して、1年間講義をする機会を持たせてもらった。(更に少人数のクラスも、もう2つ別にも受け持った)
その時の一コマで、「月の満ち欠けの様子と時刻と方角の相互関係を、アタマと身体で理解する方法」という演習を行ったのだった。
学生たちに、ロジカルな思考方法を教えるのが、毎回の講義の大きな目的であった。
「覚えること」でなしに、「理解すること」について考えさせるのが、目的であった。 講義を通じて、「俺」という一表現者のパフォーマンスを観せるのが目的であった。
ひいては、たいへん広い意味で、「自分」を表現することにより、他者との「コミュニケーション」をとる方法について教えるのが、その目的であった。
(要するに、何でもアリの内容であり、なによりも、自分自身が楽しむためであったわけだが…。。)
発端は、ネットで知り合った、ナゼナゼ少女「るる」嬢との会話であったと思う。
るるは好奇心の旺盛な少女で、あるとき、チャットかメールでこんな質問をしてきたのだった。
「昼間なのに月を見たことがあるの。なぜかしら?」
「このまえ見た半月は、斜めに傾いていたの。それって変じゃない?」
一瞬答えにつまった俺は、月の満ち欠けについて、ほとんど何も知らない自分自身に驚いた。
『宇宙論と量子力学の研究』について研究すること(「研究」の研究だ。本物の科学者じゃないもの。)を趣味とする俺が、そんなこともわからんでどうするか?!
そこで、当時小学5年生であった息子の教科書(月の満ち欠けは小5で習う)を引っ張り出して見てみたのだが、複雑な図とあまりに安易な解説が載っているだけ。時刻や位置などの条件とその時の月の形の組み合わせの数が多すぎて、全てを覚えられるわけもなければ、また全ての状態が網羅されているわけでもナイ!
「覚えることは必ず忘れる。覚えられる量にも限りがある。」しかも「覚えなかったことについては分からない」ということではマズイ。だから覚えちゃダメなんだ。少しの基本的な事さえ理解すれば、あとは「正しく」考えさえすればオノズと正解が得られるのが数学や物理といった「ロジック」の素敵なところなのだから。
常日頃、息子や学生たちにそういって「理解することの根本」を教えてあげたいと思ってる俺は、この「月の満ち欠け」の様子が、いつ、どっちの方角の、空のどの辺りに、どう関係して見えるのかについて、自分なりに考えてみたのだった。
そうして生まれたこの講義は、お遊戯みたいに、ダンスみたいにくるくる廻りながら、自分の身体と最小限の知識とアタマを使って、それを理解する方法についての講義である。
(その後、当時小学校5年生だった息子の担任に掛け合って理科の授業時間を1時間ぶんもらい、再度、子供相手にもこの講義を行ってみた。もちろん、大成功であったさ。)
3つの必要な基本的知識
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さあ、それでは…
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L.T.L研究所 Ma*To 平成15年11月24日
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